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東京高等裁判所 平成12年(ネ)1310号 判決 2000年6月28日

控訴人

齋藤俊雄

被控訴人

右代表者法務大臣

臼井日出男

右指定代理人

住川洋英

笹崎好一郎

平山友久

高橋知志

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は控訴人に対し二七三万七七〇〇円及びこれに対する平成八年一一月二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文第一項同旨

第二事案の概要

次のとおり付け加えるほかは原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」に記載のとおりである(ただし原判決書一八頁七行目の「所得金額」を「取得財産の価額等」に、同八行目の「所得税額」を「相続税額」にそれぞれ改める。)から、これを引用する。

(控訴人の主張)

本件修正申告書には重大な誤りがあり、これが控訴人の意思で作成されることはあり得ない。控訴人は米津係官から丁寧で具体的な説明があれば中部電力債等につき容易に反論できたし詳細を尋ねることもできたが、そのような説明はなかった。米津係官らが農協の建物共済についても申告漏れと指摘していたこと等は悪意によるものである。控訴人は鈴木税理士に本件修正申告の代理を依頼したことはなく、同人は元税務署員であり江間係官らと通じて過大な課税を控訴人らにのませるために行動した。鈴木税理士が説明を受けていなければ税理士法三五条違反となるし、説明を受けながら反論しなければ税務署員に加担した違法行為である。

第三証拠関係

本件訴訟記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

当裁判所は控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は次のとおり付け加えるほかは原判決「事実及び理由」中の「第三 争点に対する当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決書一九頁五行目の「三二、」の次に「三三、」を加え、同二六頁一行目の「受けた」から同二行目末尾までを「受けておらず、報酬も当初申告手続分の九五万円の支払を受領しただけであった。」に、同二八頁一〇行目、同末行、同二九頁一行目、同八行目、同三二頁末行の各「所得税」をいずれも「相続税」に、同一〇行目の「所得金額」を「取得財産の価額等」にそれぞれ改める。

二  控訴人の主張に対する判断

前記認定判断のとおり米津係官は申告漏れと考えられた各資産について最初は鈴木税理士を通じて、次いで磐田税務署を訪れた控訴人と國に対し直接指摘して説明を求めたところ、控訴人は農協の建物共済の権利は自分に帰属する旨説明しており、本件修正申告は右説明のあった建物共済等を除いた分について行われている。このことからみても米津係官が控訴人及び國に具体的な説明をして反論を聴取したこと及び本件修正申告が控訴人の意思に反しないものであったことは明らかである。また米津係官は右建物共済の掛け金が三郎の通帳から引き落とされていたため右建物共済に係る権利が相続財産に含まれるのではないかと考えて右指摘をしたのであり(証人米津)、共済契約台帳(甲三一の一)において契約<2>の共済契約者が控訴人とされていることによって米津係官に控訴人に対する悪意があったなどとはいえない。鈴木税理士が元税務署職員であったことは認められる(乙四)が、同人が税務署職員と通じて控訴人に過大な課税を受けさせるために行動したと認めるべき証拠はないし、当初申告だけを受任していたのであるから反論を述べなかったことが税務署職員に加担したことにもならない。税理士法三五条は更正をすべき場合に関するもので本件修正申告とは無関係であり、控訴人のその余の主張はいずれも認定できない事実に基づく主張あるいは独自の見解というほかなく採用できない。

第五結論

よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条一項本文、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(平成一二年五月一五日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 新村正人 裁判官 笠井勝彦 裁判官 田川直之)

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